■ いい産院・悪い産院 いつも母乳哺育とミルクあるいは混合で皆さんの意見は分かれます。
しかし、忘れてならないのは、皆さんがお産をする施設の選択なのです。
母子別室でも母乳が出る方もいます。一概にはいえませんが、分娩施設でのサポートで出るようになります。
いいお産が出来る施設では多くの方が母乳が出るようになって退院しています。
あなた達のお母さんがミルクで哺育してこられた場合あなた達の母乳が出にくい傾向があります。母乳の出が軌道に乗る前にミルクを足す理由を見つけやすいからです。
「私だってミルクでちゃんと大人になったんだから」しかし、そのような場合であってもお産をする施設によって、そしてあなた達が赤ちゃんの本質を理解することによって母乳哺育は獲得できるのです。
しかし、一部にはお母さんがあげたくても、たくさん出てもあげることが出来ずミルクで育てなければならない人もいます。
母乳はお母さんが出すのではなく「赤ちゃん」が出してくれます。親の努力や体質ではありません。
正しい知識を持つことがとても重要です。
それらが欠けて論争をしても意味がありません。
悪い分娩施設があるからです。
未だに多くの施設が赤ちゃんのことより「商売」を考えて「客引き」合戦をしています。心ない施設が多すぎます。
出生直後から母と子を同室にする事により、赤ちゃんから発せられる様々なメッセージを感じることができます。泣き声やその視線に対して、母親はすばやく反応し、授乳し、、オムツを替えてやり、話し掛け、そして抱っこを行います。するとそれに対して赤ちゃんは、早期から養育者である母親が自分に関心を向けているかどうかを敏感に感じながら発育するといわれてます。母親からの働きかけに対して、赤ちゃんも反応し、お互いに密接で深いコミュニケーションが育まれます。
この母子相互作用により赤ちゃんには母親に対する愛着が育ち、母親の母性はより豊かになります。母と子の心理的一体感が育まれると共に、親子の絆もまた強いものに育っていきます。
「母児別室」
産後の一週間が母と子の絆つくりに最も最適な「母性を育む時」です。
さらには母乳の確保にとって特異的な鋭敏期とも言える大事な一週間であることを忘れて、自分の生活を満足することに目が向きがちです。
産後の一週間を、「デラックスホテル並みの豪華施設でフランス料理を食べ、赤ちゃんはベビー室に預け、母親はエステで一生の思いで作り」と言うようなみせかけのきらびやかさと、安楽さが持てはやされています。
医療者がお産の疲れを癒すために、ということで推奨しているのも事実です。
マタニティ雑誌はそのような病院を紹介しています。
これらのお産を「ブランド出産」と言う人もいます。
別室制の施設で教えられた赤ちゃんの扱いを、最良の育児法であるかのように錯覚して、帰宅後もそのやり方をまねて育児するしかないのが実情です。
その結果、育児不安を抱えてしまいます。赤ちゃんの扱いと母乳哺育による母性が完成されないからです。
母と子の絆がつくられないと「可愛いはずなのに愛せない」と悩む母親になってしまいます。
「最初の一週間」こそ育児体験を持たない、核家族化する今日の妊婦さんにとっては、育児実習のゴールデンタイムでもあるわけですが、この人生の始まりにおける一瞬の手抜き、うっかりした瞬時の息抜きが、一生の悔いになります。
多くの赤ちゃんは天国のような胎内生活を経験し、産道ではこれまで経験したことのない痛みや苦痛の試練を経て、新しい生活が始まります。それまでの暖かく宇宙遊泳のような楽しい世界と比べて、この未知の世界は騒がしく、まぶしく、寒く、そして重力のある、不自由な世界です。
心ない病院では、形ばかりの母との出会いを終えると、直ちに新生児室へと連れていかれます。突然の環境の激変です。そこでは心を慰めてくれる懐かしい母の匂いも温もりも、そしてやさしい声も聞こえてはきません。不安を訴えても母親は答えてはくれません。
更に空腹を訴えても決められた時間が来るまで、その欲求は満たされません。
また、あまり泣く子には授乳時間前にミルクや糖水が与えられ母親が授乳時間にやってきても口を開けなかったりちょっとだけ口にしてやめてしまうので充分にホルモンが分泌されるまで働きかけることが出来なくなります。
おしっこや排便でオムツが汚れて不快を訴えても何人もの赤ちゃんがいるのです。
すぐには答えてくれ人はいません。どんなにメッセージを送ってもお母さんは現れてくれません。
医療者では不安や不満、そして甘えを受け入れることは出来ないのです。
このように出生直後より赤ちゃんの生理や欲求を無視し、病院のつごうや医師の不勉強、経費削減を目的とした新生児室の一元管理に、やがて赤ちゃんはメッセージを送る事をあきらめ、人との交流・・・例えそれが自分の母親であっても・・・お互いのコミュニケーションを取りやめてしまい、自分の殻に閉じこもります。サイレントベビー予備軍の誕生です。
皆さんの大切なお子さんのために、見せ掛けのきらびやかさにまどわされずに心の豊かさを、母と子の間に育まれる基本的信頼と心理的一体感と、母と子の共生生活へと向けて素晴らしい出発(たびたち)の場として施設を選んでください。
もっともっとお産のことを考えてください。お産に母乳もついてきます。
そして、断乳(無理におっぱいをやめる)はしないで、赤ちゃんが自然に卒業するまで与えてあげてください。
赤ちゃんのために。そしてあなたのために。 新井一令